令和8年12月の制度施行に向け、さまざまな情報が飛び交っていますが、事業者の皆様におかれましては、まずは落ち着いて、こども家庭庁が公開している公式のガイドラインや解説動画を確認し、制度の全体像を正しく把握することから始めてください。
一部の士業やコンサルタントによる「複雑な手続が必要」「高額な規定整備が不可欠」といった主張に惑わされ、不必要にコストをかけて立派すぎる就業規則や規定類をあわてて整備する必要はありません。
本制度は、事業者が自ら考え、現場の運用を整えることこそが制度の本質だからです。
以下に、ご自身でじっくりと時間をかけて取り組んでいただきたいポイントをまとめました。
1. 「丸投げ」は避ける:システム申請と情報管理は自ら行うもの
システム登録に必要なGビズIDの取得や認定申請、犯罪事実確認の手続は、至極簡単なものであり、事業者自身で十分に対応可能です 。 そもそも、こども家庭庁は事業者に過度な負担をかけないことを前提にシステムを開発しており、詳細な操作マニュアルも示される予定です。制度開始時からシステム操作に少しずつ慣れていく必要があります。今後とも、こども家庭庁のシステム以外でも、GビズIDを使う場面が増えてくるものと考えられます。
説明会においても、犯歴情報の管理は、情報漏えいリスクを防ぐため、事業者内の必要最小限の人数で行うことが必要であると述べられています。外部の事務所に安易に権限を「丸投げ」することは、かえって情報管理上のリスクを高めかねない点に注意してください。
2. 「規定」は現時点では雛形で十分:大切なのは現場でのコミュニケーションとその運用
認定申請に不可欠な「児童対象性暴力等対処規程」や「情報管理規程」は、こども家庭庁が公開している雛形を参考に作成すれば十分対応可能です 。
規定に定めるべき「不適切な行為」の範囲は、事業の特性やこどもの発達段階によって千差万別です。ガイドラインの例示はあくまで目安に過ぎません 。
重要なのは、現場の従事者とじっくり対話を重ね、「何が不適切か」という共通認識を日々の振り返りを通じて育んでいくプロセスそのものです。形式的な文書を作成することよりも、このプロセスに時間をかけてください。
3. 最終的には「司法判断」という現実:前例のない制度への向き合い方
新しく始まった制度であり、現時点で「正解」を知る者はいません。こども家庭庁の説明会等でも、懲戒解雇や配置転換等労務管理面については最終的に「司法判断による」とされています。
過度な規制は現場の萎縮を招き、業務の阻害要因となる恐れもあります 。現職者への対応や配置転換など、高度な判断を要する場面で初めて専門家のスポット的な意見を聞くという姿勢で、まずはご自身で「自社の現場に最適な形」を考えていくことが、結果として最も無駄のない、実効性のある対策となります
。
焦る必要はありません。施行日までの時間を使い、自社のこどもたちをどう守るか、自社のスタッフが安心して働ける環境をどう作るか、じっくりと腰を据えて検討してください。
取りあえずは、就業規則や雇用契約書等の整備、採用フローの見直しが必要です。
