こども性暴力防止法(日本版DBS)において、事業者が従事者に受講させるべき研修についてまとめました。
1. 研修受講の義務と目的
◎事業者の義務
対象事業者は、児童対象性暴力等の防止に対する関心を高め、取り組むべき事項への理解を深めるため、従事者に研修を受講させる義務があります。
〇目 的
こどもの権利の理解、加害の抑止、疑いが生じた際の適切な対応(未然防止・早期発見)を目的としています。
2. 研修の対象者
教員等および教育保育等従事者: こどもと接する業務に従事する全ての者が対象です。
短期間・短時間勤務者: 勤務期間の短さやボランティア等の形態に関わらず、対象業務に就く場合は受講が必須です。
3. 研修の内容(必須事項)
研修は座学と演習を組み合わせる必要があり、以下の8項目を含むことが求められます。
・防止に関する基礎的事項
児童対象性暴力が生じる要因、こどもの権利、法の趣旨など。
・行為の範囲
児童対象性暴力等および「不適切な行為」の具体的な範囲。
・早期発見
日常観察、面談・アンケートの留意点。
・報告・対応
相談を受けた際の心構え(二次被害・記憶の汚染防止)、報告・対応のフロー。
・保護・支援
被害児童等への寄り添いや支援情報の提供。
・犯罪事実確認の手続
従事者自身に求められる対応(マイナンバーカードによる本人確認や戸籍提出など)。
・防止措置
犯歴が確認された場合や疑いがある場合の配置転換等の措置内容。
・情報管理
性犯罪歴に関する情報の厳格な取扱いの必要性。
演習の内容
「不適切な行為」の具体的内容の理解や、疑いが生じた際の行動シミュレーションなど、「自分ごと」として実践的に考える機会を設ける必要があります。
4. 研修の種類と実施方法
こども家庭庁が作成する動画教材を利用するか、独自に実施することが可能です。
〇標準研修
標準的な内容を網羅したもの(主に中長期の従事者向け)。
〇要点研修
最低限必要な内容を網羅した約17分の動画(不定期・短期間の従事者向け)。
〇独自研修
業界団体や事業者が独自に実施するもの。座学と演習の要件を満たす必要があります。
〇管理職・担当者向け
必須ではありませんが、制度詳細や情報管理措置を学ぶための動画(10分〜1時間程度)も用意されています。
5. 受講のタイミング
原則として、対象業務に従事する前に完了していなければなりません。
施行時現職者: 原則として、法の施行(令和8年12月25日)前までに受講が必要です。
認定時現職者: 認定申請を行う前に受講させる必要があります。
再就職・異動時: 別の事業者へ移る場合は、新たな事業者の管理下で改めて受講する必要があります。
6. 実務上の留意点
労働時間としての取扱い
研修は事業者が受講を義務付けるものであるため、研修時間は労働時間に含まれます。
他研修との重複
教員性暴力等防止法に基づく研修など、内容が重複する場合は一部省略可能ですが、本制度特有の「法の概要」「犯罪事実確認の手続」「情報管理」などは追加で実施する必要があります。
定期的な受講
意識の定着やルールの更新に対応するため、1回限りではなく定期的な受講が推奨されます。
(R85月27日 こども家庭庁問い合わせフォームの回答です:詳細は各事業所でご確認ください)
Q)研修・演習については、公開されている従業者向け要点動画を視聴することでクリアーできると考えてよいのですか?
別途事業所で準備をしたり、高額な外部の研修を受ける必要は無いという理解でよいか?
A)要点動画の視聴をもって研修の受講を完了することができます。
なお、対象業務従事者は原則として標準研修を受講していただくことを想定しており、不定期・短期間で従事する者等、標準研修の受講が直ちに困難である者については、要点研修を受講することを可能としておりますのでご留意ください。
