近年、60歳以上のシニア世代が職場で怪我をしたり、病気になったりする「労災事故」が増加しています。
仕事中や通勤中に思わぬ事故に巻き込まれて障害が残ってしまった場合「障害年金」を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、障害年金はすぐに請求ができるわけではありません。通常の場合、障害年金請求を行い支給が決定されても、振り込まれるまでに2年近くかかります。病気や怪我の治療費、その間の生活費等についてどこからも補償はありません。
高齢で持病や既往症がある方は労災申請されることをためらいがちです。「年だから仕方がない」で泣き寝入りする必要はありません。
なぜシニア世代に「労災」の検討が必要か
60歳以降は、加齢に伴う集中力の低下や、身体機能の衰えにより、転倒などの事故が起きやすくなります。業務が原因とされる場合、一定の条件はあるものの、労災保険の対象になる場合があります。
*労災は、持病があっても給付を受けることが可能です。
社会福祉施設における労働災害では、動作の反動・無理な動作による災害が全体の4割近くを占めており、最も多い発生要因となっています。これらの災害は日常的な介助作業中に多く発生しており、特に利用者のベッド移乗や体位変換といった作業時に集中して起きています。
(例)
・デイサービスでの送迎時、麻痺のある利用者の歩行介助中に利用者がバランスを崩して介護者側に倒れかかり、ともに転倒。
・高齢者施設の居室において、介護者が入居者をポータブルトイレからベッドに寝かせようとした際に腰部に痛みを感じ、腰椎捻挫と診断。
判断が迷いやすい事例
慢性的な腰痛症状に悩んでいる方、仕事中に腰に急激な負担がかかり、腰痛が悪化した場合、医学的因果関係が認められる場合、労災の対象となります。
*突発的な出来事、作業の状態や期間等から徐々に発症したと認められる場合も認定される可能性があります。
精神障害による労災請求件数は、医療・福祉分野が突出しています
令和6年度、精神障害での労災瀬一休件数3,780件のうち、医療・福祉分野では978件となっており、9割近くは女性です。
介護・福祉施設の利用者からの暴力によって重大なけがを負ったり、利用者の暴言により精神疾患を発症した場合も、労災請求が可能です。
労災と障害年金はどちらも受給することができます(一部例外あり)
労災には年齢制限はありませんが、障害年金は通常、事後重症では年齢制限があります。
60歳を超えても社会保険をかけている場合では、請求できる年金の種類、請求可能な年齢等に変動はありますが、いずれにしても制度は複雑でご自身で、労災及び障害年金両方の手続きを勧められることは非常に難しいです。特に労災については、事業主が協力的でない場合は、泣き寝入りされている方が少なくありません。
労災及び障害年金、いずれも制度は非常に複雑です。
まとめ:専門家への相談を
「自分の不注意だから」と諦めてしまう方は少なくありません。 しかし、労働災害は労働者の権利として守られるべきものです。
特に障害が残るような重い事故の場合、その後の生活設計において労災保険の有無は非常に大きな差となります。 障害年金の申請と並行して、労災保険の活用も必ず検討しましょう。

