犯罪事実確認を適切に実施するための体制の整備について


 こども性暴力防止法(日本版DBS)に基づく犯罪事実確認を適切に実施するためには、単に照会を行うだけでなく、組織内での責任体制、労働条件の整備、および情報管理ルールの構築が不可欠です。

 1. 責任者の選任とシステム利用準備


事業者は、犯罪事実確認の適切な実施を確保するための責任者を選定し、計画的な業務管理体制を構築する必要があります。

• 責任者の役割
 犯罪事実確認の事務計画作成、従事者への事前通知、交付された確認書のチェック、および「いとま特例」適用時の書面説明や書類保存などを統括します。

• システムの導入
 犯罪事実確認はオンラインで行われるため、事業者はGビズIDを取得し、こども性暴力防止法関連システムにアカウントを登録する準備が必要です。

• 権限の設定
 事業所規模に応じ情報の閲覧や権限設定を行う「全権限者」や「事務担当者」を特定し、システム上のアクセス制御を適切に行います。



措置の内容 留意点
犯罪事実確認を計画的かつ適切に実
施するための業務を管理すること
・ 対象業務従事者の犯罪事実確認を期限までに適切に行うため、必要に応じて、事務計画の作成(例:年間スケジュールの作成)、執行体制の構築(例:責任者、担当者等の決定)等を行うこと
・ 予定どおりに犯罪事実確認を行うことができない場合を想定して、必要な対応(例:戸籍提出への協力が得られない場合を想定して、対象従事者への事前の伝達、就業規則等の整備等)を事前に行っておくこと など
犯罪事実確認の必要性、対象、手続等
の事項について、対象業務従事者に
事前に通知すること
・ 次の事項について、対象業務従事者に、事前に書面で通知すること
- 犯罪事実確認の必要性
- 当該対象業務従事者が犯罪事実確認の対象であること
- 犯罪事実確認書の交付申請のスケジュール及び流れ
- 対象業務重従事者が行うべき事項(申請アカウントの作成、戸籍提出等)及びそれが行われなかった場合の対応 など
交付を受けた犯罪事実確認書を適切
に確認すること
・ 交付を受けた犯罪事実確認書について、確認の遅れ、誤り、漏れ等がないように確認すること など
法第26条第2項に定める犯罪事実確
認の特例(いとま特例。Ⅵ.2.(3)参照)の適用に当たり、
・ 特例の対象従事者に対して、必要
な措置等について書面で説明すること
・ 特例を適用する「やむを得ない事
情」に該当することを証する書類等を保存すること
・ 「やむを得ない事情」に該当することを証する書類等については、法第 29 条に定める報告徴収及び立入検査(Ⅸ.4参照)の際に提示が求められ得ることを踏まえて、適切に保存・管理すること
・ いとま特例が適用される場合には、特定対象となる従事者が必要な措置を適切に行うことが不可欠であることから、その理解が適切になされるよう努めること など


 2. 従事者への事前伝達と労働環境の整備


円滑な制度運用のために、あらかじめ従事者との間で法遵守に関する合意を形成しておく必要があります。

• 事前通知の徹底
 従事者に対し、犯罪事実確認の必要性、自身が対象であること、手続の流れ、および拒否した場合の対応について、事前に書面で通知しなければなりません。

• 就業規則等の改訂
 犯罪事実確認の結果に基づく配置転換や、特定性犯罪事実を秘匿していた場合の懲戒処分を有効にするため、就業規則や雇用契約書に法的根拠を設ける必要があります。

• 採用フローの見直し
 募集要項に「特定性犯罪前科がないこと」を採用条件として明示し、選考段階で誓約書等により前科の有無を確認する体制を整えます。

 3. 情報管理規程の策定と遵守


性犯罪歴という機微な情報を扱うため、厳格な情報管理体制が求められます。
• 情報管理規程の作成
 犯罪事実確認記録等の適正な管理のため、管理責任者の設置や取扱者の限定、物理的・技術的措置を盛り込んだ情報管理規程を定めなければなりません。

• 取扱者の最小限化
 情報にアクセスできる者を必要最小限に限定し、業務実施に不要な者が情報を閲覧できないようアクセス制御を行います。

• 教育と研修
 犯罪事実確認記録等を取り扱う従事者に対し、秘密保持義務や適正な取扱いについての研修を定期的に実施する必要があります。

 4. 帳簿の備付けと監督体制


監督官庁への報告義務を果たすための体制も必要です。

• 帳簿の作成・保存
 犯罪事実確認の実施状況を記載した帳簿を毎年度作成し、5年間(当該年度末まで)保存しなければなりません。
• 定期報告
 事業者は犯罪事実確認や安全確保措置の実施状況を、こども家庭庁(および所轄庁)に対して年1回定期的に報告する体制を整えます。

5. 「いとま特例」への備え

急な欠員等で確認完了前に業務に就かせる「いとま特例」を適用する場合の特別体制が必要です。

• 安全確保措置の準備
 確認を待つ間は当該従事者を「犯歴あり」とみなして、原則として児童と一対一にさせないためのシフト管理や巡回・声掛け体制をあらかじめ構築しておきます。